Scandal 12



出番がようやく終わった。

5分にも満たない時間が、とてつもなく長く感じた。衣装のジャケットの下は汗でびっしょり濡れている。

なかなか席から立てないでいると、三上デスクが近寄ってきた。

「牧野、よく頑張ったな」

そういって、気が付けば目から涙がこぼれているあたしの顔が他に人にみられないよう、そっとかばいながら報道室の外へ連れ出してくれた。

誰もいない会議室に入ると、入室ボタンを押してくれた。これで誰も入ってこれない。

「思う存分泣いていいぞ。」

そういってあたしを一人にしてくれた。

あたしは最低だ。

あんなにも事実を伝えることにこだわってきたのに。

あたしから別れを切り出したのに、道明寺の幸せを喜べないなんて。

自分を責めながら、とめどなく出る涙を流し続けた。

どのくらい時間がたったかわからない。

涙も枯れ果てたころ、三上デスクが戻ってきた。

「これ買ってきたぞ」

手には鼻セレブと、ポカリが握られていた。

「やさしく拭かないと明日ブスになるぞ」

そういって、ティッシュを差し出してくれる。

豪快に鼻水をかむと、いい音だな、と三上デスクが笑ってくれた。

たくさん水分を取り、鏡を見ると目の下が真っ黒だ。

「ひえー、ひどい顔」

「そのままハロウィンの特番に出れそうだな」

「ゾンビ役でいけますかね」

いつも通り軽口を叩きながら、三上デスクの優しさに甘える。

「あたし、もう大丈夫だと思ってたんですけどね」

「あれはヘビーすぎる。まだリハビリ中のお前には負荷が強すぎただけだ。
大丈夫、お前はちゃんとニュースを伝えられてたぞ」

「でも、嘘ついちゃいました。幸せになってほしいって」

「嘘でもないだろ。そう思ってるお前もいるはずだぞ、傷ついてるお前と一緒に。

なら嘘じゃないよ」

そう言って励ましてくれた。




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riina
Posted byriina

Comments 2

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2018/11/08 (Thu) 22:14
riina

riina  

Y様

つくしが司の婚約のニュースをよむ、そのシーンが最初に浮かんでこのお話を書き始めました。

ようやく起承転結の転が始まりましたので、引き続きご覧いただけると嬉しいです^^

2018/11/11 (Sun) 10:36

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