Scandal 11



周りが騒がしくなったことを除けば、いつも通り忙しい日常だ。

テレビに出るとき以外は、地味な服装に身を包んで取材に走り周り、社に戻ってはニュースの原稿を書く日々。

つくしは、原稿を書く時いつも心掛けていた。常に主観をできるだけ排除し、視聴者に事実がそのまま届くように。

文字で読む情報とは違って、テレビは視覚が印象に残りやすい。なので、映像の確認しながらいつも自分に問いかける 

- この情報が誤解を生まないか、傷つく人がいないか、正しく視聴者のところに届くか。

「道明寺」の文字を目にしても、何の反応も起こらなかった。

時間が傷をいやしてくれたんだろう、そう思っているときにそのニュースは流れた。


『道明寺HD御曹司、道明寺司氏婚約』


タイミングの悪いことに、つくしがワイドショーのニュースコーナーにでる直前にそのニュースはもたらされ、速報としてテロップが流れた。

中継まであとわずかしかない。タイミング的にこのニュースに触れざるを得ない。

慌ただしく目の前の原稿が変更されている。第一報は道明寺司の婚約と。



目の前が真っ白になった。

息が苦しくなる。

誰か助けて。



そう思っていると、肩を叩かれた。三上デスクだった。

もう中継までのカウントダウンは始まっている。三上は早く画面からアウトしろとカメラマンから怒鳴られている。

「息を吐け、牧野。お前は大丈夫だ」

そういって離れていったデスクを見ながら、思いっきり息を吐いた。

急に視界がクリアになる。

アシスタントが示す手は2本。放送まであと2秒。

素早く息を吸うと、気合を入れる。あたしは記者だと。

今日の第一報である道明寺の婚約のニュースを伝える。あたしの主観が入らないよう、苦しみが、悲しみが伝わらないよう、どうしようもない喪失感を悟られないよう、いつも通り、分かりやすくニュースを伝える。

『お相手は、かねてからお付き合いしていると噂のあった、提携先企業のご令嬢とのことです。

まだ、道明寺HD、お相手の会社、双方からコメントは出ておりません』

その他に、今日のニュースを読む。できる限りいつも通り。平常心を心掛けて。

カメラがスタジオに戻る。

いつもの司会者とのからみの時間だ。

『世紀の色男がとうとう婚約ですって!どうですか、牧野さん、あんな男性は』

『そうですね、幸せになってほしいですね』

質問の答えにはなっていない。でもそれしか言えなかった。

記者になって、初めて嘘を伝えた。




ランキングに参加しております。


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
riina
Posted byriina

Comments 4

There are no comments yet.

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/11/07 (Wed) 19:07

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/11/08 (Thu) 07:49
riina

riina  

T様

つくし、今は耐えるフェーズです。涙

2018/11/08 (Thu) 13:14
riina

riina  

Y様

もっとも言いたくないことを自分の口から伝えなければいけない、つくしの切なさを分かったていただいて嬉しいです。
司の婚約についてはこれから明らかになる予定です。つかつく派の期待を裏切らない展開にしたいと思ってます。

2018/11/08 (Thu) 17:37

Leave a reply