Euphoria 10

「なあ、情報多すぎんだけど、類とつくしちゃんは付き合ってんのか?」

あきらは1番大きな疑問を口にする。

「お前、あれが付き合ってるように見えんのか?」

聞いておきながら、あきらは首を横に振る。

二人の空気は恋人特有の甘さがない。どちらかというと仲の良い兄妹だ。

「付き合ってるとしたら色気なさすぎだろ」

「だな」

「っていうか、つくしちゃんいつ留学行くなんて決めたんだよ」

総二郎は桜子に尋ねる。

「先輩は結構前から考えてたみたいですよ」

「にしても、なんで道明寺の本邸があるニューヨークじゃねえんだ。

司もあっちの大学に行く話もあったじゃねーかよ。なんで道明寺の令嬢がニューヨークじゃなくてイギリスに行くんだよ」

総二郎は言いながらも、なぜ自分がこんなに苛立ちを感じているのか分かっていた。

つくしを迎えたにも関わらず、正式に道明寺家の子供として扱わないその態度がつくしを長年に渡って危うい立場に置いている。

道明寺家の現当主である司とつくしの父とは母はニューヨークに拠点を置いている。

司も大学創業とともにニューヨークに渡る予定だ。姉の椿は結婚しロサンゼルス在住だが頻繁にニューヨークの本邸に里帰りしているし、グループ会社の一つ、ホテル事業の責任者を務めている。

つくしだけがいつも家族の輪から外れている。

「アメリカにも行こうと思えばいけたんです。

ご両親は先輩の進路に関しては放任なので、先輩が希望すれば反対はされなかったんじゃないかと。

でもアメリカ以外を、イギリスを強く希望されたのは先輩の方なんです。」

桜子は次の言葉をいうか少し悩んだのか間が開く。

「多分、先輩疲れたんだと思います。

『道明寺』の名前がついて回ることに。

だからあえて『道明寺』の影響力の少ないイギリスを選択されたんだと思います。」

多分、司と距離を置こうとしている。

桜子はそう思っていたが、司の友人である総二郎とあきらの前では口には出さなかった。

先に距離を置いたのは司だった。

あれほどつくしの側から離れなかったのに、高等部から大学に上がる時期司は変わった。そして荒れた。

タチのよくない場所へ出入りしているとも聞く。

それでも

その言動の中にはわずかにだが司の本心が透けているよう気がしていた。

つくしに関心が、敵意が向かないようにしている。


司は当初桜子がつくしの側にいくことを認めなかった。

いや、桜子だけでなく男女問わず、自分の親友たちでさえ自分以外こそものがつくしと親しくするのを許さなかった。

だが、司がつくしから距離を置くと同時に、桜子や類がつくしの側にいるのを黙認した。

単につくしへの関心が薄れただけではないのか。

その仮定は、ふとした瞬間司がつくしを見つめる視線により打ち消される。


まだ炎は灯ったままだ。


だが、それに気づいているのはおそらく自分と類、そしてつくしだけだと桜子は思っている。

だからこそつくしには受け止めきれなかったのではないか。

つくしに対して妹以上の感情をもつ司の気持ちが。

つくしは妾腹というその生い立ちから潔癖気味な倫理観を持っている。

そのつくしが受け入れられるわけがない。だからこそ、すべてに気づかないふりをしたまま、司から離れるのではないか。

先輩はもう日本に帰ってこないのかもしれない。

桜子はそんな予感を抱く。

桜の優先順位は決まっていた

つくしの幸せ

きっと、二人は離れたほうがいい

だからこそ留学を後押しした

先輩には、後ろめたさを抱くことなく明るい場所で笑っていて欲しい。

桜子はそう願う。



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riina
Posted byriina

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