Firestone

花より男子の二次小説です

ご挨拶

本サイトに訪問いただきありがとうございます。

「花/よ/り/男/子」の二次創作です。

CPはメインつかつくですが、そのうち類つく、総つく、あきつくも書いていきたいと思っております。

こちらに掲載している文章は、原作者様、出版者様には一切関係ございません。

普段日本語を書く機会が少ないため、誤字脱字や不自然な言い回しなど目障りな点が多々あると思いますが、優しい目で見ていただければ幸いです。

あくまでも素人の趣味で始めたものですので、気に入らない点などあると思いますが、その場合は閲覧をご遠慮ください。
誹謗・中傷・批判等は一切受け付けておりませんので、該当するコメントは削除させていただきます。返信も致しません。

大変恐縮ながら、あらかじめご了承いただければ幸いです。

riina

Scandal 19



目が覚めると、白い天井が見えた。

のどが渇いているからか、咳が出る。

すると横からストローのついた水が差しだされた。

「大丈夫か?」

心配そうにあたしを見る、道明寺が横に座っていた。

「あんた、、、なんでここに・・・」

「お前、取材中に倒れたんだよ。過呼吸だって。過去にも同じようなことがあったのか?」

首を縦に振る。そして気づく

「今何時?」

「夜7時を回ったところだ」

あたしは半日以上気を失っていたらしい。

「道明寺、仕事は?」」

そんなこと気にすんな、という道明寺の横にはタブレットが置かれていた。あたしが目を覚ますのを待つ間に、横で仕事をしていたんだろう。

「ねえ、こんなの困る」

「なにがだよ」

「だって、あたしたち別れてるんだよ。それにあんたの婚約者に申し訳ない」

「俺の婚約者って誰だよ」

まただ、また怒った声で聞き返される。

「提携先のご令嬢でしょ?」

「誰が言ったんだ、それは」

「みんな知ってるよ。ニュースでも流れたじゃない」

「お前の仕事はなんだ?記者だろ。ちゃんと裏とったのか?」

あたしはこのニュースの出どころを知らない、知ろうとしなかったのだ。

これ以上傷つきたくなくて。

「なあ、聞けよ俺に。

今、目の前に当事者がいるだろ。

俺に直接聞けよ、婚約したニュースはほんとですかって」

ずっと聞きたかった、でも聞けなかった。

だって、肯定されたらあたしは、、、

「聞けない。聞けるわけないじゃない!」

そう叫ぶ。

「なんでだよ、聞けない理由を言えよ。お前は記者なんだろ」

「なんでって、あんたのことがまだ好きだからでしょ。忘れられないからでしょ」


言いながら、涙が止まらない。

最悪だ、あたしから別れを言っておいて、こんな未練がましいことを言うなんて。




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Scandal 18



副社長室は、先ほどまでいた応接間とはガラッと雰囲気が変わり、必要最低限のものしかない、シンプルで、無機質な部屋だった。

デスクに座っていた道明寺はあたしたちが部屋に入ると、立ち上がりこちらへ向かってきた。

まずはディレクターが名刺を渡す。道明寺の名刺は西田さんが渡していた。

そしてあたしの前に立つと、口を開いた。

「先日は質問ありがとうございます」

そういって手を差し出してくる。

懐かしいあいつの大きな手。

こんな近くであいつの顔をみたのは、8年ぶりだ。

「こちらこそ、ありがとうございます。本日はよろしくお願いします」

震える声に気付かれないよう、そっと手を差し出すと、思いのほか強い力で握手される。あたしより体温が少し高いあいつの手は、いつも温かかった。温かくあたしの手を包んでくれていた。

以前から変わってないあいつのコロンの香りと相まって、一瞬昔に時が戻ったのかと錯覚しそうになる。

まだあたしたちが付き合っていたころの、あたしが幸せだった日々に。

手が離され、ふと正気に戻る。

さっそくインタビューの流れなどをディレクターが道明寺に説明する間に、撮影の機材を設置していく。取材の時間は限られている。忙しい副社長を長い間拘束すれば、大きな損害が出てしまう。皆手早く準備をしていく。


そしてカメラリハのため、道明寺の斜め前のソファにあたしが座る。足を動かしたら膝がくっつきそうな距離に緊張してしまう。

固い雰囲気を崩そうと、ディレクターが話しかける。

「道明寺副社長の服装、牧野とぴったりなのでいい画が撮れそうです」

道明寺は濃紺のスーツに白いハンカチーフを胸元に入れていた。

あいつの手が目に入る。左手に指輪がないことを確認してほっとした自分が情けなかった。

「今日は何でも聞いてください。NGな質問はありませんから」

そう道明寺が話しかけてくる。

「ありがとうございます。では遠慮なく」

そういうのが精いっぱいだった。

収録を開始する合図の後、直接道明寺に質問を投げかける。前ふりなどは編集でなんとかするらしい。

事前に準備されリストにある質問をあらかた聞いたところで、あと5分のサインが出る。道明寺には次の予定があるため、時間厳守だ。

ディレクターからフリップで指示が入る、婚約について聞けと。NGがないと聞いて、急きょ質問項目を追加したらしい。

同じくフリップを見て、これから自分が何の質問を聞かれるか分かっている道明寺に、思い切って切り出す。

「先日婚約報道が出ましたね。おめでとうございます。

大変お似合いのカップルだと話題ですね。」


「本当にそう思うのか?」


先ほどまでとは違い低い声で返してくる。


この声は知っている。

あいつが本当に怒っているときの声だ。


返事をしようとするが、上手く声が出ない。次第に苦しくなっていく。

息が、、、息ができない。今までどうやって息をしていたのか思い出せない。

どんどん苦しくなって目の前が真っ暗になる。



周りであたしの名前を呼ぶ声がする。


そして意識を失う直前、あいつの体温を感じた気がした。






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Flames


いつも訪問いただきありがとうございます!

このブログを開設して2カ月弱、気が付けば10万アクセスを超えておりました。

これもひとえに訪問して頂く皆さま、ランキングのボタンを押してくださる皆さま、拍手を送ってくださる皆さま、そしてコメントを下さる皆さまのおかげです。

ありがとうございます。

連載の途中ですが、10万アクセス記念の短編を置いておきます。


CPは総二郎×つくし
以前アップしたCloserの前日譚です。

つかつくじゃなくてすみません!

つかつくの連載を書いていると、他のCPを書きたい衝動を抑えられませんでした。笑

***





いつのことだか覚えていない。たしか酒の席で、F4を色に例えると何色かって話をした。

『道明寺は赤だよね』

記憶をなくした司のことを吹っ切ったふりをする牧野が、一番初めに司の名前を出す。さもなんとも思っていないかのように。

『類はアイボリーって感じ。ふかふかの毛布みたいな』

『それっていつも寝てるってことだろ?』『確かに類は毛布と一体化してるもんな』

ソファーで丸まっている類を見ながら皆で同意する。

『美作さんは、、、ピンクかな』

『お前、それ俺の家のイメージだろ』

そうあきらが言うと、みんなで笑った。あきらの家は、母親の趣味でピンクとレースだらけだ。

『うーん、西門さんは一番難しいかも。』

しばし考えた後、

『青っていうのかな、藍色っていうのかな、海の底みたいな感じかな』

自信なさそうに答える。

まあそんな感じか、そう言って酒の席での話として別の話題に移っていった。

きっとこの中でもっとも牧野に遠い人間が俺だろう。そっと牧野の隣で支える類、兄の様に細やかに世話を焼くあきらと比べ、俺と牧野が二人で会うことはほとんどない。

だから俺の色のイメージが浮かばなかったんだろう、そのときはそう考えた。

***

「来週はちょっと都合が悪いんだ」

隣に座る牧野が言う。俺たちはいつも隣同士の席だ、向かい合って座ったことはない。

「ふーん」

誰と会うんだ、男なのか、類となのか、聞けない質問が胸の中を渦巻く。それを悟られないように、アルコールを口にしながら何気ない風に返事をする。

「俺も予定入ってたからちょうどいいな」

嘘だ、何の予定も入っていない。牧野と会う曜日は、何があっても予定を入れないようにしている。

「じゃあ再来週この続き持ってくるわ」

そういって先ほど渡した本を指さす。

俺たちが会う名目、それは俺が持っている本を牧野に貸すついでに、一人もの同士でバーで飲む、そういうことになっていた。少なくとも最初はそうだった。

偶然空き時間に大学で読んでいた本に、牧野が食いついた。

「それ、ずっと読みたいと思ってたんだ。でも図書館には置いてなくて」

マイナーだが、コアなファンをもつ推理小説を手にする俺に話しかける。

「俺が読んだあとでよければ貸すぞ」

軽い気持ちでいうと、予想以上に牧野が喜ぶ。まるで子供の様に。

俺が読み終わった分を牧野に貸す、それで気が付けば週に一度、木曜日に会うことが定例となった。

「一週間に一度楽しみができてうれしい!」

現時点で30作あるシリーズ物の、8作目を手にしながら牧野が言う。

俺は心の中で残りの巻数を数える。

今まで、女とは適当な会話しかしてこなかった。相手には体しか求めてなかった。だが、同じ本を読み、感想を交わし、同じ目線で対等に話ができる。それがこんなにも楽しいことだとは知らなかった。

この場面について牧野はどう思うのだろう、この展開はあいつが好きそうだな、気が付けば俺の頭の中は牧野で一杯なっていた。

お礼の代わりに、そういって牧野の家で夕飯に呼ばれた。外だと西門さんのお口に会うようなものはごちそうできないからと。

俺はずっと機会を伺っていたのかもしれない。ただ酒に酔ったせいという口実が欲しかっただけだ。ずっとこの時を求めていた。


あどけない顔で眠る牧野を見ながら思う。

後何度会えるのだろう。

もう俺は全部読んでいるから、残りを一度に渡すこともできるはずだ。でもそれを言い出すことはなかった。

週に一度会い、夜を共にする。

あいつの背中、肩甲骨の横に蝶の様な痣があるのを見つけたのは何度目の夜だったか。あいつすら知らなかった痣。この痣を見たのは俺だけだ、その痣に舌を這わせながら、奇妙な優越感がわいてくる。

だが、行為の最中決して俺の名前を呼ぶ事のないあいつが、一つになった時に目を閉じるあいつが、心の中で誰を思っているのか。

優越感とともに、独占欲という深い嫉妬に苛まれる。


牧野、お前は知ってたか。

青い炎の温度は、赤い炎よりも高いって。


一見静かに燃えているように見る青い炎は、より奥深く静かに燃える、消すことのできない炎。

このままでは嫉妬でお前を燃やし尽くしてしまう。

臆病な俺は、30冊目を渡した夜初めて牧野をベッドに残して帰った。牧野のほうから終わりを告げられるのが怖かった。

最後の本は牧野の手元に残した。

背中の痣の様に、あいつの心に消せない跡が残ることを願って。


Flames 炎

Fin


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Scandal 17



時間は万人に平等である。

あたしがどんなに時が遅く進めと願ったところで、取材の日はやってくるのだ。

道明寺副社長に会うということで、メイクさんはいつも以上に気合が入っていた。

「つくし、どうする?今日はカラコンいれちゃう?」

「入れない、入れない。いつも通りでいいから」

「そんな、世界の道明寺司に会うのよ。気合入れなくてどーするの!」

「お願いだからいつも通りにして」

そうお願いしたが、いつもよりビューラーは念入りに、マスカラも二度塗りで、最後に小顔になるというヘッドマッサージまでしてくれた。

衣装は、テレビ向けの淡い色ではなく、スーツの相手に合わせた濃紺のワンピースに白い襟付きジャケットだ。

そして、アクセサリーはテレビ放送初日に着けたダイヤのイヤリング。

「このイヤリング、久しぶりだ」

そういうと、衣装担当の女性が教えてくれた。

「ディレクターから指名が入ったのよ、このイヤリングでって。まあ偉い人に会うから失礼のないようにってことなんじゃない?」

とってもきれいよ、全身を隈なくチェックした後、そういって送り出してくれた。


インタビュー会場は道明寺HDの、こともあろうに副社長の執務室らしい。

テレビ局が入るのは初めてのことで、みんな気合が入っている。

関係者が乗ったバンが道明寺HDの車寄せにつくと、見知った顔が出迎えてくれた。

「初めまして。私、副社長秘書の西田と申します」

そういってディレクターと名刺交換をする。そして、つくしに目線を合わせた後、目立たないよう軽く会釈をしてくれた。

「副社長は今ミーティング中ですので、応接室でお待ちください」

そう言って、副社長室と同じフロアにある応接室まで案内してくれる。

さすが世界の道明寺、と言いたくなるほど豪華な応接室だった。

靴の音が響かないふかふかのカーペットに重厚な家具、そして部屋には絵画が飾られている。

「美術館みたいっすね」

若手の技術スタッフが絵に手を伸ばそうとするのを、ディレクターが制止する。

「馬鹿、さわるな。本物だぞ。下手したら億は下らない」

若いスタッフが真っ青になる。皆気持ち絵から距離を取って座った。

取材の流れを確認していると、ノックが鳴った。道明寺の準備ができたらしい。



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Scandal 16



何か重大事件が起きたのかと駆け付けると、道明寺があたしが出演するワイドショーのスポンサーについた、というニュースだった。

「牧野の質問が好印象だったからかもな」

「その後の映像の使い方もいい感じでしたしね」

「道明寺副社長の婚約について番組内で突っ込まなかったの、うちだけらしいですよ」

万年資金難のテレビ局にとって、新しいスポンサーほどうれしいことはない。

道明寺HDのメディア戦略が変わったのかな、そう考えていた。

だが、それは思い違いだったらしい。


夜に放送している経済番組で道明寺に取材を申し込んだところ、牧野記者からの取材であれば引き受ける、と条件が入ったというのだ。

あたしは社会部所属の記者で、担当は昼のワイドショーだ。夜の経済番組には、社歴の長い経済部の重鎮がでる決まりである。そこに、あたしが指名されるのは不自然すぎる。

上層部はもちろん、機嫌よく二つ返事で条件を快諾したが(あたしに事前相談もなく)、現場はあたしを含め混乱していた。


三上デスクに声をかけられ、社外の喫茶店に行く。

「牧野、道明寺から指名入ったらしいな」

「そうなんですよ。もう決定事項だそうです」

頭を抱える。

「御曹司とは今も連絡とってるのか?」

採用面接で、あたしと道明寺の関係について泣きわめかれたデスクは、あたしたちが付き合ってたことも、別れたことも知っている。

「まさか。別れて以来連絡とってませんよ」

「じゃあ、まだお前に未練があるからか」

「やめてくださいよ。あいつには婚約者がいますし」

「でもまだ正式発表はされてないだろ?」

「だとしても、あいつがあたしに未練があるなんてありえません。だって、あたしはあんなひどいことをしたんですから」

あいつの顔も見ず、一方的に別れを告げた。

それがあいつをどれだけ傷つけたか。

「もしかしたら、復讐なのかも。あたしが酷いことをしたから」

そう呟くと、

「お前が好きだった奴は、別れた後に彼女に復讐をするようなやつか?」

怒った顔で聞かれた。

強く首を振る。

あたしの知ってるあいつは、そんなことはしない。

「ならそんなこと考えるな。気になるなら本人に聞いてみろ、取材のときに」

それができるなら苦労しない。そう思いため息をついた。



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Scandal 15



つくしの質問の後も、当たり障りのない質問が続く。司も淡々と答えていく。

必死に下を向いてメモを取りながら、顔をあげないようにした。

もしまた目が合ったら、、、そう思うと怖かった。


記者会見が終わった後、会場の外でカメラマンと合流する。

「牧野、いい画が撮れたぞ」

そう褒められたが、このニュースをこれから自分で伝えるのかと思うと憂鬱になる。

だが、社に戻り原稿を書きながら、初心を思い出す。

あたしは何のために記者になったのか。あいつのがんばりを世間に伝えるためじゃなかったのか。

なら、あたしは今のあいつの姿を、たゆまない努力の積み重ねで築き上げた、道明寺副社長の姿を伝えよう。

その日のワイドショーでは、先ほど取った映像が使われた。もちろん、あたしが赤面している顔付きで。

ニュースでは、ワイドショーで触れられなかった、経済的な点を伝える。あいつがどれほどがんばったのか、これがどれほどすごいことなのか、視聴者に届くように願いながら。

ニュースを伝え終わった後、案の定司会者に突っ込まれた。

『牧野さんも、質問に指名されてラッキーでしたね』

『本当に運がよかったです』

『でも珍しく赤面してましたね。あれだけの男前を前にすると緊張しましたか?』

やっぱり突っ込まれた。

『そうですね。大変魅力的な方ですので、緊張してしまいました』

微笑みながら答える。

これがあたしの本心だ。もう嘘は伝えない。

あたしの回答にスタジオは盛り上がったが、中継時間が過ぎ、画面はスタジオに戻った。

周りのスタッフからもいじられる。

牧野は面食いなのか、となぜか三上デスクの周りで盛り上がっていた。

あたしはあたしの仕事をするだけだ。

今日の道明寺の立派な姿を焼き付けて、明日からも頑張ろう。

そう思った翌日、取材から戻ると社内がざわついていた。



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Scandal 14



司が着席し、フラッシュがひと段落したところで、記者会見が始まる。

まず、司会者が司のこれまでの経歴を語る。

すでに調べてきていたことだったが、改めてこの8年間の司の成長を実感する。

司会者がまだ話をしていたが、ふと目線を司会者から檀上の司に戻すと、彼と目が合った気がした。

そんなはずはない。この人数だ、見つけられるはずない。

そう思うが、司の視線はつくしの方向に注がれている。

司が話し始めてもその視点は変わることがなく、常に一点を見つめている。

司の話に集中しなければ、そう思うも視線が気になって仕方がない。

なんとかメモを取りながら、あとでレコーダーを聞きなおさなきゃ、そう思っている間にいつのまにか質疑応答へと移っていた。

『質問のある方は挙手をお願いします』


みんな一斉に手を挙げる。まるでバラエティー番組のひな壇のようだ。

周りを見回していると、同じテレビ局のカメラマンと目が合う。口パクで、

「牧野、手を挙げろ」

そういっている。

我に返り、勢いよく手を挙げると、なんと司会者に指名された。

『ピンクのジャケットの女性、どうぞ』

マイクが運ばれてくる。

衣装合わせのとき、準備されたピンクのジャケットに狼狽えたが、会場では目立ってなんぼよ、というメイクさんに押し切られた。

効果はあったようだ。

だが、いざ指名されると、頭が真っ白になる。準備してきた質問が思い出せない。慌てて質問を描いたメモを出そうとするが、手が震えてうまくメモを開けない。

仕方ない、いつも通りやるしかない。

マイクが届けられると、息を吐きながら椅子から立ち上がる。

『〇〇テレビの牧野です。

この度は副社長ご就任おめでとうございます。

質問ですが、今回の帰国はどのくらいの期間になる予定でしょうか』

なんとかそれらしい質問をひねり出す。

司は、つくしを見つめながら、ゆっくりと答える。

『目的が達成されるまでは、日本にいる予定です』

思わず口から出る。

『目的とは?』

質問は1社につき一つです、と司会者から制しが入るが、司がそれを手で止める。

『企業秘密です』

そういった後、司は微笑んだ。

普段メディアに顔を出すときにめったに笑わず、一部で氷の貴公子とまで呼ばれている司の微笑みに、会場中がどよめきに包まれた。

思わず顔が赤くなったつくしは、小さく「ありがとうございます」といい、下を向いて着席した。



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Scandal 13



婚約の速報から数日、両社からの正式なコメントを待っていたマスコミに、道明寺HDから書面が届いた。

すわ正式な婚約発表か、と見てみると、そこには別の事が書かれていた。


道明寺司が副社長に就任し、東京に戻ってくると。

そして、就任記者会見の日時が書かれていた。


司の帰国は一大ニュースだ。

多くの報道陣が集まると予想され、各社1名ずつと制限されていた。そして質問は指名制だとも。

社内では、だれが参加するで揉めていた。

どこも自分の担当する番組の人間を使いたい。様々な思惑が交差し、揉めに揉めた上白羽の矢が立ったのがつくしだった。

つくしなら、報道局の人間でありながら、ワイドショーにも顔を出している。どの番組でも使いやすい。

加えてテレビ映えするので、質問の際指名される確率があがるのではないか、との計算だった。

そこには、つくしの意思は全く反映されていない。それが組織というものだ。

それに、記者の端くれとして、今回の人選は納得がいく。あたしが行ったほうがが映像が使いやすい。それがすべてだ。

あたしの感情など、誰も知らなくていい。

伝える必要はない。



記者会見当日、会見会場であるメープル東京に久しぶりに足を踏み入れた。

最後に来たのは、8年前、司の母と会った時である。だが、センチメンタルになっている暇はない。すでに場所争いは始まっている。

つくしは仕事モードに入った。


今日の服装は、テレビ仕様である。さすがにつくしのことを見知ってる人間も多く、案外すんなりといい席が取れた。

案内状には、注釈がついていた。プライベートな質問は禁止であると。それは暗に、婚約報道には触れてくれるな、ということである。

つくしはそもそもそんな質問するつもりはないし、婚約に関する質問がでなくてよかったというのが本音であった。

物思いにふけっていると、会見が始まる。


司が秘書を伴って登場すると、おびただしい数のフラッシュがたかれる。


久しぶりに見た司の姿は、副社長の肩書にふさわしく、堂々と威厳のあるものだった。

もう、司をただの御曹司と見くびる人間はいないだろう。精悍な顔つきと鋭い目線が、これまでの司の実績を物語っていた。


道明寺、あんた頑張ったんだね。すごい立派になったね。


つくしは心の中で声をかけながら、司の姿を目で追いかけた。




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Scandal 12



出番がようやく終わった。

5分にも満たない時間が、とてつもなく長く感じた。衣装のジャケットの下は汗でびっしょり濡れている。

なかなか席から立てないでいると、三上デスクが近寄ってきた。

「牧野、よく頑張ったな」

そういって、気が付けば目から涙がこぼれているあたしの顔が他に人にみられないよう、そっとかばいながら報道室の外へ連れ出してくれた。

誰もいない会議室に入ると、入室ボタンを押してくれた。これで誰も入ってこれない。

「思う存分泣いていいぞ。」

そういってあたしを一人にしてくれた。

あたしは最低だ。

あんなにも事実を伝えることにこだわってきたのに。

あたしから別れを切り出したのに、道明寺の幸せを喜べないなんて。

自分を責めながら、とめどなく出る涙を流し続けた。

どのくらい時間がたったかわからない。

涙も枯れ果てたころ、三上デスクが戻ってきた。

「これ買ってきたぞ」

手には鼻セレブと、ポカリが握られていた。

「やさしく拭かないと明日ブスになるぞ」

そういって、ティッシュを差し出してくれる。

豪快に鼻水をかむと、いい音だな、と三上デスクが笑ってくれた。

たくさん水分を取り、鏡を見ると目の下が真っ黒だ。

「ひえー、ひどい顔」

「そのままハロウィンの特番に出れそうだな」

「ゾンビ役でいけますかね」

いつも通り軽口を叩きながら、三上デスクの優しさに甘える。

「あたし、もう大丈夫だと思ってたんですけどね」

「あれはヘビーすぎる。まだリハビリ中のお前には負荷が強すぎただけだ。
大丈夫、お前はちゃんとニュースを伝えられてたぞ」

「でも、嘘ついちゃいました。幸せになってほしいって」

「嘘でもないだろ。そう思ってるお前もいるはずだぞ、傷ついてるお前と一緒に。

なら嘘じゃないよ」

そう言って励ましてくれた。




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